♥OSS

学生向けに勉強会や開発イベントを開催していたら、♥OSSになった人がやったことや思ったことなどを書くことにしました

OSS 開発でわかる「情報共有」の意味

情報共有ということを意識することが重なったので、久々に書いています。

情報共有の意味というと、

  • 誰もが失敗しないため
  • 誰もが成功しやすくなるため

この 2 つがよく挙がると思います。

このエントリーは、情報共有をこういう意味で考えていると、たいてい失敗しますよ、ということを書いています。

OSS 開発は情報共有がないことには参加できない

このブログの以前のエントリーで OSS 開発に携わる方はオープンな人が多い、と書いていました。

私が OSS へ関心を持ち始めたのは 2015 年に OSS Hack Weekend というイベントをやってからです。 今になってふりかえってみると、このように魅力を感じるようになったのは、そのイベントに参加頂いていたメンターの方々の、とてもオープンな姿勢と、とてもウェルカムな雰囲気で、楽しそうに開発に取り組んでいることが、とても眩しく見えたからだと思います。

特にこのときは深く追求することはなかったのですが、改めて考えてみると、当たり前なのかも知れません。

OSS というとソースコードがオープンになっていることがよくフォーカスされます。 それは OSS で公開されている情報の一つです。 それだけでなく OSS では使い方はもちろん、ソフトウェアへの要求が挙がっていたり、改善提案がされていたり、開発ロードマップが公開されていたり、そのソフトウェアに関するあらゆる情報が公開されています。 本来ならマイナス情報であるバグ報告もたくさん上がっています。

OSS ではあらゆる情報が公開され、誰もが 共有 できているからこそ、誰もが OSS の開発に参加できます。 言い換えると、 OSS 開発では 情報共有が無いことには開発に誰も参加できない のです。

こういう背景から、 OSS 開発に参加する方は報告、活動などにオープンさが求められ、それに慣れるうちにオープンになっていかれるのでしょう。 また OSS オーナやメンテナも、誰もが開発に参加しやすいよう、オープンなマインドかつ、参加しやすいウェルカムな振る舞いを身につけられるのでしょう。

「情報共有」は組織・チームに参加する上で当たり前のこと

翻って、情報共有が当たり前なのは OSS 開発に限ったことでしょうか。 ... そうではありませんね。

チームや組織、会社も同じで、情報が共有されないことにはメンバは活動できません。 情報共有がなければ、開発者であれば開発環境の構築すらできませんし、セールスであればお客様に何もコミュニケーションできませんし、オペレーションであれば何も処理できません。

情報共有は誰かの失敗や成功のためにやるものではなく、「 メンバがチームに参加する上で当たり前のこと 」なのです。

ということは、マネージャなどチームをリードする方に初手で求められるのは、「情報共有」を徹底することです。 それを徹底するうちに、自身がオープンになり、チームに参加しやすいウェルカムな振る舞いを身につけられるかも知れません。

また、もしマネージャが「メンバの当事者意識が足りない」と嘆いているなら、それはチームの問題や課題をしっかり情報共有していないからでしょう。

それがわかれば、会社経営、プロダクトなどの課題や問題の情報が経営陣やマネージャなどひと握りの人だけに閉じられていることの、何が問題なのかもわかります。 情報を閉じ、コミュニケーションパスを少なくすると、決定の速さ、心地よさに繋がる一方、その陰で、メンバの参加意識が奪われているのです。

まとめ

情報共有を、まだ見ぬ誰かの失敗、成功を目的にしてしまうと失敗します。 OSS 開発と同様に、チームや組織では情報共有が無いことには、チームや組織の活動に参加すらできません。 それがわかると、情報を閉じる = メンバの参加意識が削がれる、ということに繋がることもわかります。